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amazarashi のベストアルバム「メッセージボトル」リリースを前に

邦楽 ロック 音楽

メッセージボトル(初回生産限定盤)(DVD付)

MV『ヒーロー』

テレビドラマ「銀と金」の主題歌にもなっている楽曲「ヒーロー」のMV。

これまでのミュージックビデオやアートワークの映像が流れる集大成的なもので、今後後歌い続けるであろう曲たちから選ばれた初のベストアルバム”メッセージボトル”へと繋がる内容だそうです。

www.youtube.com

ヒーロー
作詞・作曲 秋田ひろむ

食欲がないもんだからさ 別に小銭がない訳じゃないんだよ
君の横顔を見ていると そういう事を言いたくなるんだよ
もしも明日世界の危機が来て 僕が世界を救う役目だったら
頑張れるのにな かっこいいのにな なんて空想だ なんて空想だ

そしたら
僕の亡骸 君が抱いて 泣きながら
「やれば出来るんだね」って 呟いて

いつだってヒーロー 笑われたっていいよ
人生は喜劇の 一幕の様なもんだろ
「ここはまかせろ」 とは言ったものの 
どうすりゃいいんだろう 断崖のヒーロー

なんて言っても世界の危機なんて そうそう来るもんじゃないんだけど
それなりの人生の危機ってやつは 僕なんかにも訪れるもんで
孤独になっても夢があれば 夢破れても元気があれば
元気がなくても生きていれば 「生きていなくても」とかあいつらそろそろ言い出すぞ

そしたら
絶体絶命の危機の淵で 
起死回生の一撃は きっと怒りか悲しみだ

いつだってヒーロー 殴られたっていいよ 
垂らした鼻血の色 田舎の根雪の白
連敗続きの 擦り傷だらけの
挑戦者気取りの 断崖のヒーロー

小銭数えて 逆算する人生も
追いつめられて 首括る人生も 
もうよく聞く話しだ 驚かないよな
今が世界の危機かもね 誰も選んじゃくれないけど
頑張れるかもな かっこいいかもな ここでやれるんなら 今がまさにそうだ 
どうせ「世界よ終われ」と願っても 世界はくそったれのまま 続いてく

誰だってヒーロー そんな訳はねえよ
いわゆる掃き溜めの ありふれた有象無象
そこで負けねえと 言ったもん勝ちの
よくある強がりの 「いつだってヒーロー」

絶体絶命の 絶望的状況
それでも言い張るよ いつだってヒーロー

amazarashi 『ヒーロー』Music Video - YouTubeより引用しました

「それでも」という接続詞

amazarashiというバンド名、なかなかかっこいいのでは。

「a」が4つも入っていて見た目もシュっとしているし。

近ごろみかける、出オチならぬ名前オチのようなキラキラネームなバンド名と比べても覚えやすいですし。

感じで表記すれば「雨曝し」。暴って字なんて、激しくロックな感じも。

そんなバンド名の由来は、

「日常に降りかかる悲しみや苦しみを雨に例え、僕らは雨曝しだが“それでも”というところを歌いたい」

からきているそうです。

僕らは雨曝しだが、それでも現状をプラスな方向にもっていこう。

と、マイナス表現の”それでも”の後ってポジティブな表現になります。

さきほどの「ヒーロー」の歌詞の最後、

絶体絶命の 絶望的状況 それでも言い張るよ いつだってヒーロー

 も、最悪な状況だけど、起死回生狙い続けるよ と聴こえます。

青森、寺山修司、太宰治、秋田ひろむ

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

本州の最北、北国青森県出身のフロントマン秋田ひろむ。

冬は厳しいが、それでも春を心待ちにする気候風土のある土地柄。

彼が影響を受けた作家に同郷の「言葉の錬金術師」と異名をとった寺山修司、「人間の心理」を主題にした太宰治を挙げています。

言葉(詞)を大切にし、人間のダメな部分晒しながら肯定するところが似ているような気がします。

「歌詞を見ながら聴きたい曲が、いまいくつあるだろう。」

0.6

インディーズ時代のアルバム「0.6」のキャッチフレーズです。

歌詞カードが見たいって衝動は、行間を読むこともできますし、その曲をより深く味わいたいための再確認みたいなところから湧いてくるのかもしれません。

BEST ALBUM「メッセージボトル」には、新たにレコーディングされた「つじつま合わせに生まれた僕等」が収録されているそうです。

アルバム「0.6」にも収録されているこの曲を聴いていると、さながら短編小説を読んでいるのか、ショートムービーを観ているかのようです。

つじつま合わせに生まれた僕等
作詞・作曲:秋田ひろむ

遠い国の山のふもと この世で一番綺麗な水が湧いた
やがてそれは川になり そこに群れを作った魚を
腹を空かした熊が食べて 猟師が熊の皮をはいで 
それを市場で売りさばいて 娘の為に買った髪飾り
悪い人間がやってきて 全部奪ってしまったのは 
歴史のちょうど真ん中辺り 神様も赤ん坊の時代
母親のこぼした涙が 焼けた匂いの土に染みて 
それを太陽が焦がして 蒸発して出来た黒い雨雲

その雲は海を越えた砂漠に 5ヶ月ぶりの雨を降らせた 
雨水飲んで生き延びた詩人が 祖国に帰って歌った詩
それを口ずさんだ子供達が 前線に駆り出される頃 
頭を吹き飛ばされた少女が 誰にも知られず土に還る

そこに育った大きな木が 切り倒されて街が出来て 
黒い煙が空に昇る頃 汚れた顔で僕等生まれた
善意で殺される人 悪意で飯にありつける人 
傍観して救われた命 つじつま合わせに生まれた僕等

高層ビルに磔の 価値観は血の涙を流す 
消費が美徳の人間が こぞって石を投げつけるから
金にもならない絵をかいた 絵描きは筆をへし折られて 
見栄っ張りで満員の電車が 走る高架下で暮らしている
喜怒哀楽をカテゴライズ 人に合わせて歌が出来て 
悲しい時はこの歌を 寂しい奴はあの歌を
騙されねーと疑い出して 全部が怪しく見えてきて 
人を信じられなくなったら 立派な病気にカテゴライズ

不健康な心が飢えて 悲劇をもっと と叫んでいる 
大義名分が出来た他人が やましさも無く断罪する
人殺しと誰かの不倫と 宗教と流行の店と 
いじめと夜9時のドラマと 戦争とヒットチャートと

誰もが転がる石なのに 皆が特別だと思うから 
選ばれなかった少年は ナイフを握り締めて立ってた
匿名を決め込む駅前の 雑踏が真っ赤に染まったのは 
夕焼け空が綺麗だから つじつま合わせに生まれた僕等

ふざけた歴史のどん詰まりで 僕等未だにもがいている 
結局何も解らずに 許すとか 許されないとか
死刑になった犯罪者も 聖者の振りした悪人も 
罪深い君も僕も いつか土に還った時

その上に花が咲くなら それだけで報われる世界 
そこで人が愛し合うなら それだけで価値のある世界
だからせめて人を愛して 一生かけて愛してよ 
このろくでもない世界で つじつま合わせに生まれた僕等

さいごに

以前、amazarashiのライブに行ったことがあります。

観客は彼らの言葉と聴き逃すまいと直立し、映像が流れるスクリーンの後ろで演奏しているamazarashiのメンバーの姿が薄っすらと見える構図は、とても不思議な空間に紛れ込んでしまっているように思えました。

ベストアルバムで一区切りつけて彼らはどこへ向かっていくのか気になります。